お布施は葬式や法事をした時に、お寺の住職への謝礼として渡します。(キリスト教では「献金」)
しかし、お布施は「お坊さんにお金をあげる」ということではありません。
そこで今回はお布施本来の意味や書き方・相場などを、現役の葬儀屋である私が最近の傾向を交えながら徹底解説します。
目次
お布施とは?本来の意味について
お布施は、住職に読経をしていただいたり戒名をつけて頂いたりした際に、謝礼として金銭を渡すことです。
そのお布施は本尊に捧げる(お供えする)という意味で、お寺のために使われます。
具体的には、お寺の管理費や修繕費・住職とその家族を助けるという意味合いで使われているのです。
そもそもお布施は六波羅蜜(ろくはらみつ)の一つで、仏教徒として悟りの境地に至るために行う修業の一つとなっています。
・布施(ふせ)
見返りを求めず人のために惜しみなく善いことをすること
・持戒(じかい)
ルールを守り、相手のことを考えながら自らを戒めること
・忍辱(にんにく)
堪え忍ぶこと、時には犠牲的精神を持って困難に耐えること
・精進(しょうじん)
最善をつくして努力し、向上心を持って日々誠心誠意尽くすこと
・禅定(ぜんじょう)
客観視すること、心を落ち着けて動揺しないこと
・智慧(ちえ)
自我の執着から離れて正しい判断や行いをすること
お布施の袋/書き方/表書き/包み方
お布施袋といっても水引のあるものないもの・水引の色の違いなど、市販されている物の中には何種類かあります。
お布施袋の選び方や・表書きの書き方・お金の包み方を順番に解説します。
お布施袋の選び方
お布施の袋は特に決まりはありませんが、市販されているものが良いでしょう。(白い無地の封筒や奉書紙で包んでもよい)
市販されている物にも色々な種類がありますが、基本的には水引のついていない物で大丈夫です。
水引
ただし、地域によっては風習で水引を使用する場合があり、一般的には双銀や白黒の水引を使用し、関西では黄色と白の水引を使うと言われています。
なので水引がついている物を使用しても何ら問題ありません。
表書きの書き方
市販のお布施袋を使う場合には「御布施」と印刷されたお布施袋を使用します。
白い封筒や無地の奉書紙を用いるときは、市販の袋と同じように黒い墨を用いて、縦書きで「御布施」と書きましょう。
袋の下ほうには、縦書きで苗字またはフルネームを記入します。(フルネームのほうが良)
裏面は特に何も書かなくても大丈夫です。
もし市販のもので住所欄がある場合は書いても問題はありません。
お金(お札)の包み方・入れ方
お札の入れ方にもマナーがあります。
通常お葬式などに使われるお香典には、新札は使いません。
それは、「不幸を予期してあらかじめ用意しておいた」と思われないようにする為です。
一方、お布施はあらかじめ準備しておくものなので新札を入れるのがマナーになります。
そして、お札の入れ方は上の画像のように顔の部分が上にくるように包みましょう。
中袋が無いタイプのお布施袋も同じように顔が上にくるように入れます。
お布施の相場(金額)
お布施は本来決まった額があるものではないため、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか?
そこで全国のお布施の相場を見ていきましょう。
あくまで目安になりますので、参考程度にお願いします。
通夜/葬儀・告別式のお布施の相場
東日本 15万円~30万円
西日本 20万円前後
上記の金額は読経料となっており、現在は別途で「戒名料」も含めて渡すことがほとんどです。
戒名料はお寺や戒名のランクによって大きく異なり、目安というものがありません。
高いところでは100万円を超える場合もあります。
困った時はお寺の住職さんに直接聞いてみましょう。
大体の目安を教えてくれるところがほとんどです。
また、通夜/告別式に呼ぶお坊さんの人数よっても金額は大きく変わります。
法事・法要のお布施の相場
一般的な法事・法要にかかるお布施の目安です。
・四十九日 30,000~50,000円
・一周忌 30,000~50,000円
・三回忌以降 10,000~50,000円
自宅や式場にお坊さんをお呼びする場合は、別途「御車代」として5,000~10,000円を上乗せして渡すこともあります。
また、お坊さんが会食に同席しない場合は「御膳料」を5,000~10,000円ほど上乗せしてお渡しすると良いでしょう。
納骨法要のお布施の相場
四十九日法要に合わせて納骨法要を行う場合が多いですが、納骨法要も合わせて行う時には先ほどの金額に
10,000~50,000円
を上乗せしてください。
納骨法要だけの場合は10,000~50,000円が相場です。
お布施の渡し方
お布施を渡すタイミングは、葬儀・法要が始まる前に挨拶を兼ねてするか。
もしくは終わった後の挨拶時にすると良いでしょう。
お布施は直接手渡すのではなく、お盆にのせて(できれば切手盆や祝儀盆)渡すのがマナーです。
お盆が用意できない場合は、袱紗(ふくさ)でも構いません。
便利な切手盆・袱紗セット
お布施体験談
以前、親戚の葬儀の時のお布施は全て含めて85万円くらいでした。
親戚の菩提寺は位がかなり高いお寺さんだそうです。
葬儀内容としては、家族葬でお坊さんを三人追加してのお布施の値段になります。
参考になれば幸いです。
おわりに
今回はお布施本来の意味や相場などを解説しました。
まとめると
・お布施は本尊に捧げるものである
・そもそもお布施は六波羅蜜の修業の一つである
・お布施の袋は市販されているものが良い(白い無地の封筒や奉書紙で包んでもよい)
・新札を使うのがマナーである
・お布施の相場は目安でしかなく、直接聞くほうが間違いない
・お布施を渡すタイミングは、葬儀・法要が始まる前か後
・お布施はお盆、袱紗(ふくさ)にのせる
以上の点を気を付ければ問題ありません。
お布施で大切なのは金額ではなく気持ちです。
お布施を渡すときは感謝の気持ちを忘れずに。