今回は私の仕事である「送り人」のお話しをします。
送り人の仕事内容やお給料を暴露しちゃいます!
「おくりびと」とは?
送り人というのは故人(亡くなられた方)の旅立ちのお手伝いをするお仕事です。
2008年に公開された滝田洋二郎監督の第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞した映画「おくりびと」で有名になり、本木雅弘さんや広末涼子さんらが出演し話題となりましたね。
「納棺師」が送り人と呼ばれることも多いですが、私は葬儀業界で働く人全員が送り人だと思っています。
実際私も納棺師ではありませんし、葬儀業界で働く人がみな何らかの形で故人が旅立つことに関わっているからです。
おくりびとの仕事内容
経験上9割以上の方は病院・介護施設で亡くなられます、私はそこへ行き「清拭」「着替え」「搬送」をします。
①清拭
病室で遺族に挨拶をして、一緒に故人のお体を綺麗にするか伺います。
お体を拭き終わったら一旦遺族には病室から出てもらい、今度は詰め物をします。
詰め物をする理由は搬送中や安置後に体液が出ないようにする ためです。
②着替え
遺族が用意した物に着替えますが(スーツや着物など)最近では会社で用意している浴衣に着替えることが多いです。
これから故人はお布団で寝るのにスーツや着物だとゆっくり休 めませんよね。
お着換えが終わったら薄化粧をします。
③搬送
・自宅へ搬送
基本的には自宅へ帰りますが、年々増えてきているのがホール 安置で、自宅から近いセレモニーホールへ直接安置することもあります。
自宅・ホールへと安置後、お焼香の準備と故人の保全の為にお体にドライアイスをあてます。
お焼香の準備のことを枕飾りといいますが、これは宗派によって飾り付けが変わってきます(特に浄土真宗)。なので菩提寺の宗派は前もって知っておくと良いかもしれませんね。
ここまでが私の仕事の主な内容です。
その後のお葬式が終わるまで流れ
お葬式が終わるまでの流れを一般的な例で説明します。
①菩提寺(お墓のある寺)に連絡
・○○(住所)の○○(名前)ですが○○(故人)が亡くなりましたと住職に伝える
②死亡届の記入
・火葬の予約をするのに死亡届が必要で、慣れていないと少し難しいので葬儀者の人に説明してもらいながら記入する。
役場への火葬手続きは葬儀者が代行します。
③打ち合わせ
・日程、祭壇、料理などすべて打ち合わせ。
年々家族葬が増加していますが、実は家族葬が一番費用がかかります。
なぜなら香典などによる入ってくるものが無いからです。しかし、今後の付き合いを考えると億劫に考える人が多くなってきている為、家族葬を選択する人が増えているわけです。時代の流れですかね。
④湯灌(ゆかん)
・故人の最後のお風呂「湯灌」をする。(当社の場合)
通常お通夜より前に自宅やホールに専用の車がきて行い、この時に浴衣から遺族の着せたい服に着替えをします。
⑤納棺
・自宅またはホールにて納棺。
ほとんどの場合お通夜当日に行います。
⑥お通夜
・午後六時よりお通夜
多少前後する場合もあります。
⑦告別式・火葬
・地域にもよるが一般的には告別式をしてから火葬を行う。
以上が仏式でのお葬式の流れになりますが、地域や葬儀会社によって内容は変わってきますので、あくまで参考程度にお願いします。
お寺のお布施はいくら?
気になるのがお布施の値段だと思います。
正直、お布施というのはお寺によってほんとまちまちで、私の経験からすれば最近ではお寺が大体の金額を教えてくれますし、不景気な世の中ですから相談にものってくれます。
50~100万円が一番多いのではないでしょうか。
ちなみに、私が最近身内を送った時のお布施は家族葬で80万円くらいでした。
そのお寺は一般葬の場合はもう少し高くなるようです。
送り人の給料を暴露
映画を観た人は、すごい良いんでしょ?と思うかもしれませんが、ぶっちゃけると手取り20万円前後です。
ではなぜこの仕事を続けているのかというと、「やりがい」の一言に尽きます。
故人のお体を拭いて、お着替えをして、お化粧する。それを遺族に見ていただくと、泣いて喜んでくれます。
長い間お風呂に入れなかった方もいるでしょう、「サッパリしたねぇ、綺麗になったねぇ」
この言葉が聞けるだけで私は、この仕事をやってて良かったと思います。
おわりに
私の部署は新しい人が入ってきても研修が終わる前に、ほとんどの人が辞めてしまいます。中には一日で辞める人も少なくありません。それほど特殊な仕事だと思っています。
入社して慣れてきた時に上司に言われました「我々にとっては数ある葬儀の中の一つかもしれないが、遺族にとってはその故人を送るのは一生に一度しかない。」
決してミスは許されないし、葬儀という仕事に慣れてはいけないということです。
この言葉は本当に大事で、以前私が関わったお葬式でクレームを頂いたことがあり「故人ともっと一緒にいたかった」と言われました。
遺族からしてみれば、亡くなってからお葬式までとんとん拍子に事が進んでいき、流れ作業に感じてしまったんです。
私がもう少し親身になっていれば、こんな事にはならなかったでしょう。
火葬の日を先延ばしするなどして、故人との時間を作ることもできました。
この遺族からのお叱りを真摯に受け止め、同じ過ちを二度と繰り返さないよう毎日仕事をしています。
「遺族の気持ちになって」仕事をすることを心掛け、誇りをもってこれからも続けていきたいです。